false dawn

予定通り公演が見たいオタクの願掛け

5/3 良きファンでありたいという話

「良いファンでいる」ということはなかなかに難しいことだと思っている。

俳優にハマったのはここ数年の事なのであまりサンプルにはならないけれど、元々声優のオタクを拗らせていたし、もっと前はバンギャルをしていたのでそれなりに他人を追いかけるという経験はしてきました。いやー他人に自分の人生捧ぐのはめちゃくちゃしんどいです。
私の場合、好きがどんどん呪いになっていくのが目に見えてわかった。

「何でアイツが私より良い席座ってんの」
通路席だったのにこっちまで来てくれなかった」
「私は毎日こんなに頑張ってるのに何で報われないの!」

我ながら論理の飛躍がやばいけど、でも当時は本当にそう思っていた。そんな思いがエスカレートした結果、全然楽しくなくなって、好きがだんだん嫌いになって、私は彼を追いかけるのをやめたんでした。

今思えば高校生、大学生の出来る範囲のことなので、かけたお金もまあ大したことない金額でした。むしろそれで頑張ってるとか言ってるのは笑える。
それでもあの時の私にとっては全てだった!
毎日大学の講義そっちのけでアルバイトして、毎週末東京に夜行バスで行って、早朝から並んだり、時には徹夜した。
もう辛すぎて帰りたいと泣きながらイベント見たりもした(でも強欲なので最後まで見た)。
朝頑張りすぎたせいでイベント中に睡魔に襲われて、隣の友達と手を抓りながら無理矢理起きていたこともあった。
30秒しか出ない癖に映画の舞台挨拶に登壇するからと、マジで面白くない映画を何回見たかわからない。起きたらエンドロールだった回もあった。

それなりに声優オタクをしていた期間は長かったので、楽しかったことももちろんたくさんあるけど、辛かったとか嫌だったとか悪口を言った記憶の方が多すぎて、本当にこれは呪いだったなとつくづく思う。

当時の私は、彼にとって全然良いファンになれなかった。今になって思うと、多分良いファンでいるには適度な距離感が必要ですね。

彼が出ているのなら全部行く!何がなんでも行く!作品が面白くなくても、何をするイベントでも、時間が短くても長くても全部行く!が愛だと思っていた私は完全に距離感を見誤っていた。全部行くことが目的になった結果、「別に面白くもなんともないけど義務感で席に座っている斜に構えたオタク」が爆誕してしまった。

斜に構えたオタクがイベントに行くとどうなるかというと、批判家になるんですよね。アマチュア批判家クレーマー。
あれはこうだ、こうした方がよかった、なんでこれをしてくれなかったの?とどんどん「自分の思う通りに動かしたい欲」の歯止めがきかなくなった。応援している見返りも求めたくなった。
ただもちろん思い通りに動いてくれるわけがなく、そんな彼に勝手に失望して、勝手に離れていった。何て面倒臭いオタクなんだろう…悲しきモンスターだね…

この頃の反省を生かせているかわからないけど、私は今も他人を追いかけて生きている。
今の推しには勝手に自分の理想を押し付けて失望するようなことはしたくないし、私自身「良いファン」でありたいけど、果たしてその自制心はいつまで続くのか。だって恋もオタクも盲目なので…